「手から、手へ」
私はこの本を(絵本を)読むとき、いつも
「どんなにやさしいちちははも
おまえたちとは一緒に行けない
どこかへ
やがてはかえるのだから」
という一節で心にこみあがってくるものがある。
漠然と偶然に手に取ったのに、
詩に興味があったわけじゃなかったのに、その一節で購入してた。
あとがきにて山本純司さんが
「詩の調べと言葉の断片が、体にまとわりついて離れなかった。まだ見ぬものに、人にとって大切なものに、出会ったに違いない。」
と書いてあった。
私も同じ気持ちだった。
ずっと詩が頭から離れなかった。
本の試作品を作る中で
「簡単に見つかるものではないが、苦労した時ほど、見つけた時の喜びは大きい。」
と語っている。
私はその言葉を自分に許したくなった。
なぜなら苦労することも、喜ぶことも制限している自分がいるからだ。
詩の作者・池井昌樹さんの言葉がとても素晴らしかった。
「でも、この詩は書くぞと思って、こちらから書いたのではなく、向うから書かされた。やってきた。でもね、それ以来ぼくは書かされ続けている。」
向こうから来る感覚とは、なんなんだろう。
身を動かされるとは心地よさそうだ。